「新しい100年へ--日本共産党がめざすもの」
岸田内閣の改造人事で副大臣、政務官は全員男性で女性議員は一人も採用されなかった。安倍元首相はよくも悪くも目指すべき国家像が明確だったが、岸田首相の行動原理には国家像がまったく感じられず、政権の延命と自己保身のためには何でもやるという印象だ。外交面では米国のいうことを聞き、内政では財界のいうことを聞く。国民がどんなに反対してもマイナカードやインボイス制度はどんどん進める。大きな声ばかりを聞き、国民の声は聞き流す。国民は政治に希望を見出せず、閉塞感が日本社会を覆っている。この政権は倒し、抜本から変えていかねばならない。共産党としては国民に希望を届ける政策の実現に取り組んでいきたい。
物価高騰に暮らしの悲鳴があがっているが、今回の物価高騰がとくに深刻な打撃となっているのは、自民党政治のもとで30年にわたり経済が停滞しているところに物価高騰が襲いかかっているためだ。1996年をピークに実質賃金は下がり続け、消費税が上がり、社会保険料の負担は1.5〰2倍増になり、一方で給付は切り下げられている。医療の窓口負担は増え、介護制度も悪くなる一方だ。学費は上がり続け、卒業後に若者が背負う奨学金の借金総額は10兆円と30年間で7倍にもなった。学費を賄うためにより時給が割増しになる深夜バイト、徹夜バイトをし、徹夜明けで授業に出てくる学生も多いのが実状だ。
岸田首相は経済停滞の原因を「長年続いたコストカット型の経済」とするが、そうなってしまった最大の原因は、財界の要求に応じて進められた雇用破壊の政治にある。労働法制の規制緩和が繰り返された結果、正社員から非正規雇用への置き換えが進み、いまや非正規ワーカーの割合は4割に達している。フリーランスなど実態は労働者なのに労働者の権利が保障されない働かせ方も増えている。インボイス導入で年利益150万で15万円もの大増税に直面している。
食料自給率は38%と、この30年あまりで10ポイント近くも下落した。エネルギーの自給率も10%と先進国の中では最低水準にある。暮らしも経済もよくなる希望が見えないなか、閉塞感を打破する抜本的な方策が求められている。共産党は、30年に及ぶ経済停滞・暮らしの困難を打開するために『経済再生プラン』を策定した。
まずは、政治の責任で賃上げと待遇改善をすすめる。最低賃金を時給1500円に引き上げ、中小企業への支援を10兆円規模で行う。地方の格差をなくす全国一律最賃制の導入をはかる。大企業の内部留保はこの10年近くで180兆円も増え、いまや510兆円にもなった。利益が増えても賃上げに回らず内部留保が積みあがる、歪んだ構造に斬り込み、この巨額の資金を賃上げで経済に還流する方策をとる必要がある。男女賃金格差の是正も不可欠だ。低賃金構造を固定化し、格差と貧困を広げた原因となった非正規雇用の労働者の待遇を抜本的に改善し、正規雇用へと転換をはかることも重要だ。
次に、日本経済を立て直す抜本的対策として、消費税の廃止を目指し、緊急に5%への引き下げを目指す。消費税を導入し、増税を繰り返して、そのたびに国内消費を冷え込ませてきたことが30年もの経済停滞の大きな原因となった。物価高騰のもと、年金の実質目減りも深刻だ。マクロ経済スライドなどの年金削減システムをやめ、物価上昇に応じて「増える年金」にする改革にとりくむ。
志位委員長は「戦前は天皇制権力からの弾圧、戦後はマッカーサーの弾圧、スターリン、毛沢東の干渉を受け、それらと正面からたたかい、攻撃を前進の糧に成長していった歴史」と創立101周年に及ぶ日本共産党の歴史を振り返った。また、岸田政権が推進する軍拡に対し「『抑止力のため』というが、抑止とは恐怖によって相手を押さえつけること。その際たるものが核抑止で、唯一の戦争被爆国である日本が核抑止を唱えるのは恥ずかしいことだ。共産党は憲法9条を生かし、恐怖でなく安心を与える平和外交によって東アジアに平和をつくる『外交ビジョン』を提唱している。その実現のために内外で独自の取り組みを進めている」とのべた。